ボードゲームを布教したい

この記事は京大アドベントカレンダー2020(Kyoto University Advent Calendar 2020 - Adventar)7日目の記事です。

 

はじめまして、二十日(二十日 (@hhLm60vDwtCuN0w) | Twitter)です。京大アドベントカレンダーの「"趣味の布教"などなんでも」という謳い文句に惹かれ、記事を書いてみることにしました。ちなみに、こういうブログ記事を書くのは今回が初めてです。先行き不安。

 

さて、皆さんボードゲームはやったことがあるでしょうか。

 

ニュースとか見てると、最近じわじわと「きてる」感じがしますよね。

かく言う私も大学入学以降にはじめた勢であり、別にベテランプレイヤーというわけでもないのですが、やはり同胞が増えるというのは喜ばしいことです。

特に今年に入ってからは、学科の友達とボードゲームカフェ(飲み物とかを頂きながらボードゲームを楽しめるお店です)に行って、何人かに布教してきました。ですがそれでは飽き足らず、ここに布教記事を書くことに。

 

布教と言いつつオタク特有の早口でまくしたててもしょうがないので(自戒)、ここでは「ボードゲーム初心者が友達とボードゲームカフェに行く」という設定で、初心者にオススメの軽~中量級*1ゲームをいくつか紹介したいと思います。

 

 

1.ドミニオン

hobbyjapan.co.jp

私が初心者の方とボードゲームカフェに行くときに「とりあえずコレ!」といつもオススメしているゲーム。

 

「デッキ*2構築型」と呼ばれるゲームの1つ(にして元祖)です。

トレーディングカードとかやったことがある人は「デッキは事前に作って持ち込むもの」というイメージが強いかもしれませんが、「デッキ構築型」ゲームでは全員同じデッキからスタートし、ゲームの中で好きなカードを選び、自分だけのデッキを構築していきます。

 

ドミニオンではそのデッキを国に見立てており、その国の指導者であるプレイヤーは、国に必要な人材や施設(=さまざまな効果を持つカード)をデッキに取り入れていく、という設定です。

 

いやもうこれがね、おんもしろいんですよ(語彙力)。

 

勝つ方法はひとつではありません。「コレとコレを組み合わせると強そう」とか、みんな自分なりの戦略を立てて必要なカードを取捨選択していきます。

 

そうして手塩にかけたデッキが思い通りに動いてくれたときの快感といったら!

ましてや他のプレイヤーから「そのデッキ強くない⁉」なんて褒められでもしたときは、普段は謙虚なあなたもついつい「でしょー!!??」と自慢したくなること間違いなしです。

 

プレイ時間は30分ほどで、プレイ感もそこまで重くなく、さらにゲームで使うカードは毎回ランダムで変わるため、周回プレイにもバッチリ対応。「次はもっとうまくやれる気がする!」と、ついつい繰り返しプレイしちゃいます。もはやハマらない理由が見当たりませんね。

 

そして、ここがある意味一番重要なんですが……難易度がちょうどよいのです。

もちろん最適解なんて探し始めたら底なし沼にはまっていくわけですが、何と言いますか、多少プレイングがガバっても耐える、というか、いい感じにやればいい感じになる、というか……要するに、そんなに気張らなくてもちゃんと楽しめる設計になっています。

 

ですからまずは難しく考えずに、とりあえず手に取ってみてください。結構箱が大きくて威圧感がありますが、心配ありません。ルールがわからなければお店の人に聞いちゃいましょう。快く教えてくれますよ。ありがちな言葉ですが、やらずにおくのはもったいない傑作です。

 

2.おばけキャッチ

www.mobius-games.co.jp

ボードゲームというと、「知略を巡らせて、相手の出方をうかがいながら最適解を……」みたいなイメージの人も多いのではないでしょうか。というか、さっきも「デッキ構築型」とかよくわからん言葉が出てきたし、ボードゲームって難しい?

 

そんなあなたにオススメしたいのがこちら。深謀遠慮はさておいて、反射神経一本で戦うゲームです。

 

箱を開けると5つの木製コマが入っています。赤い椅子、青い本、緑のビン、灰色のねずみ、そして白いおばけ。

 

これらを机の上に並べたら、山札からカードをめくります。カードに描かれたイラストと、ある「法則」に従い、誰よりも早く正解のコマをつかみ取りましょう!たったこれだけです。

 

いや「法則」って、絶対複雑なやつじゃん……と思いましたか?

いえいえ、「法則」はたったの2つです。ぶっちゃけその2つさえ覚えてしまえば、もはや免許皆伝、と言っても過言ではないと思います。

 

え?いやそれじゃあゲームとして簡単すぎるでしょ……?

ところがどっこい、そうではないのです。それがこのゲームのすごいところ。

 

このゲームでは2つの「法則」がものの見事に絡まり合っており、一筋縄ではいきません。プレイするたびに「いや正解なくね⁉」だの「これか!あ、ちゃうわ⁉」だの、パニックに陥るプレイヤーが続出します。大の大人がたった2つの「法則」で雁字搦めになっていく様は、なかなかの見ものですよ。

 

まさに「単純だけど難しい」を地で行くゲームだと言えるでしょう。口で言うのは簡単ですが、これを高いレベルで実現するというのは本当にすごいことだと思います。と、最後に少し感慨に浸ってしまいましたが、直感でバシッと遊べるゲームを探している方にはぴったりです。ぜひお見知りおきを。

 

3.テストプレイなんてしてないよ

www.groupsne.co.jp

まだ試作段階のゲームを彷彿とさせる、白黒印刷のコンパクトな箱に入ったカードゲーム。

ルールは単純明快で、

  1. 山札からカードを引いて手札に加える
  2. 手札から1枚選んで出す
  3. 出したカードの効果に従う

のかんたん3ステップです。問題はこの手順3にあります。

 

ゲームタイトルから察しがついた方もいると思いますが、このゲームにはプレイヤー(自分も含む!)をゲームバランスごと葬り去るようなとんでもない効果のカードが大量に存在します。全体攻撃化した「ハサミギロチン*3」が飛び交う環境と言えば、分かる人には分かるでしょうか。

 

そういった殺意マシマシのカード以外にも、小学生が考えたような、と言ったら小学生に失礼になりそうなカードが山ほど収録されており、他のまともなボードゲームではまずありえないアクロバティックなゲーム展開が量産されます。

 

またこのゲームの魅力を語るうえで、カードバリエーションの話も外せません。

基本セットには90枚のカードがありますが、なんとまったく同じカードは1枚として存在しません。(同じ効果でもイラストやフレーバーテキスト*4が違います)山札からカードを引くたびに「今度は何だ⁉」とつい見入ってしまう、「山札を掘り進む楽しさ」も大きな魅力でしょう。

 

ですが問題もあり、(あくまで私の意見ですが)理不尽さをゲームの中核に据えている以上、「初心者向け」ではあっても「万人向け」ではないかもしれません。ここまでの文章を読んで、ちょっと引き気味になってしまった方もいるのではないでしょうか。

ただ私としては、やっぱり食わず嫌いはもったいない!とも思うわけです。1プレイはせいぜい5分くらいですから、とりあえずひっそりとやってみて、「やっぱり肌に合わないな」と思ったらそっと元あった場所に返しておきましょう。そうやっていろいろつまみ食いできるのも、ボードゲームカフェのいいところです。

ハマる人はハマります。マジで。

 

あと、バカバカしいことで盛り上がれるような気心の知れた友人と遊ぶことを強くお勧めしておきます。間違っても、初対面のボードゲーム初心者をこのゲームでワンターンキルしたりしないように。

 

4.ラブレター

www.arclight.co.jp

おしゃれなイラストが描かれたコンパクトな箱に入ったカードゲーム。

ルールは単純明快で、

  1. 山札からカードを引いて手札に加える
  2. 手札から1枚選んで出す
  3. 出したカードの効果に従う

のかんたん3ステップです。どこかで見た文面ですね?ええ、気持ちは分かりますがとりあえず落ち着いて。

 

あなたは、国のお姫さまに想いを募らせる若者です。しかしあなたは平民の身。姫にその想いを伝えようにも、城に入ることはできません。そこであなたは恋文をしたため、城内の協力者たちに頼んで姫に渡してもらうことにしました。

そう、今あなたの手札にいる人物(=カード)こそが、今あなたの恋文を預かっている協力者なのです。

 

さて、そういうわけですから、手札は1枚しかありません。

当然ですね。真摯なあなたは「数打ちゃ当たる」と城内に自分の恋文をばらまくような、無粋な真似はしません。たった1枚の手紙に、あなたはすべてを託したのです。そんなあなただからこそ、城の人たちも快く協力してくれるのでしょう。

 

「いや設定の話は分かったけど、手札が1枚ってゲームとしてどうなの……?」とお思いのあなた。ご心配なく。ただ引いて捨てるだけのゲームではありません。

 

実は協力者たちは、あなたの恋文を預かるだけでなく、他のプレイヤーの恋文を取り上げてしまう機会をひそかにうかがっています。(なかなかえげつないですが、これもあなたの想いをふいにしないためです)

そんなわけで、「今あいつの恋文を預かっているのは誰だ?」という読み合いが勃発します。さらには協力者たちも、ひとくせもふたくせもある人物ばかり。下手をすると読み合い以前に自滅してしまうかも。

 

そんな水面下の戦いを経て、城内でもっとも姫に近い人物(あわよくば姫!)に恋文を届けることができたとき、晴れてあなたの想いが姫に伝わるというわけです。

 

1プレイ5分程度でサクサク楽しめるゲームでありながら、遊ぶたびにさまざまなドラマが生まれます。周回プレイ待ったなしの名作です。

 

 

はい、長々と4つも紹介してしまいました……。ここまでお付き合いくださりありがとうございます。

 

できるだけ毛色がかぶらないように紹介したつもりです。

「いや4つ中3つカードゲームじゃねえか!」というツッコミはもっともですが、その3つもまさに”三者三様”だったと思いませんか?

この中でひとつでも、あなたの心に刺さるボードゲームがあったのなら。手近な友人を誘ってぜひ、ボードゲームカフェを訪れてみてください。

 

あ、いま「ひとつのボードゲームのためだけに行くの?」と思いましたか?

心配ご無用。ボードゲームカフェにはそれこそ「小さな図書館」レベルで、たくさんのゲームが所狭しとならんでいるのですから。あなたが心の底から「楽しい!」と思えるボードゲームが、ひとつと言わず、たくさん見つかることでしょう。

 

そしてもし「あれ、ボードゲームってさては面白いな?」と思ったなら、じっくり頭を使うような、いわゆる重量級ゲームにも手を出してみてはいかがでしょうか。面白いですよぉ……(深淵より)*5

 

さて、こんなところでしょうか。明日は電電同級生のはなまるくんですね。御後がよろしいようで。

*1:「重さ」の判断基準は人によりけりですが、私的には5~10分程度が軽量級、1時間以内が中量級です。

*2:ご存知の方が多いとは思いますが、念のため。ゲームで自分が使うカードのセットのことです。

*3:ポケモンに登場する、約30%の確率で相手を一撃で倒せる技です。ちなみに、1/3の確率で相手を脱落させるカードは存在します。

*4:ゲームに直接関係しない記述。製作者のコメントのようなものです。

*5:私がプレイした中で一番重たかったのは『シヴィライゼーション』という文明を育てるゲームです。8時間かかりました。あれはヤバい。